ごあいさつ (理事長より)

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ノーチラス会は双極性障がいに関わる全ての人々の希望になるべく常に努力を続けております。

ノーチラス会は、当事者、ご家族、医療者、福祉関係者、科学者、出版社、マスコミ関係の方など多方面の方に会員となっていただき、皆様の知恵とお力を結集して活動を行っております。

具体的には、相互扶助活動(集い(本部・支部)、家族会など)、レクレーション事業、毎月の会誌発行、相談事業(無料電話相談など)、啓発事業(講演会など)を行っています。

なお、会の運営費用は、皆様方の会費と寄付によって賄われています。支出を極力抑え、会員の皆様の負担を減らす努力を常に行っています。事務局員は現在ボランティアで会の仕事をしてくださっています。

ところで、ノーチラス会は、長い歴史を持つ精神障害一般の患者会を出発点としております。その活動を通して、双極性障がいに特有の問題に取り組む必要性を感じた初代理事長によって、独立した会として発足いたしました。そのため、根幹にある精神は「当事者の当事者による当事者のための会」であると考えております。

ノーチラス会はその後、平成22年9月16日に東京都からNPO法人の認証を受け、日本で唯一の双極性障がいに特化したNPO法人となりました。正式名を「特定非営利活動法人日本双極性障害団体連合会」と申します。これにより税制上の優遇も受けられるようになり、活動の幅を大幅に広げる事が出来るようになりました。

NPO法人になってからも、歴代の理事長は当事者の方々でしたので、まさに当事者がほとんどすべてをまかなって活動してきたといっても過言ではありません。しかし、NPO法人は原則として非営利に社会活動するのが使命でありますので、ノーチラス会の活動も、単なる当事者会の相互扶助活動に留まらず、講演会などの啓発活動や双極性障がいに悩む方々を無償で支える相談事業などを行うようになってきております。そして、次第に非当事者の賛助会員様の活動参加も増え、着々と発展してきております。

私は精神科医で賛助会員としては初めての理事長でありますが、ノーチラス会とは以前より間接的に関わらせていただいておりました。さらに平成24年度からは副理事長に抜擢され、まさに当事者の皆様と膝を交えて活動させていただくようになり、初めて精神障がいの大変さを実感させていただいております。これは、私が長い間トレーニングを積み、逆に教官として後輩の医師に指導してきた「共感」という概念を超えるものだと感じています。今では、精神科医の言葉や製薬会社のセールスパーソンに当事者として反応してしまうようになりました。このような体験は大変貴重であります。また、これまで講演会などでお世話になった精神科医の皆様にも、このように当事者と非当事者が固い絆で結ばれた会は見たことないとお褒めの言葉をいただいております。

私は、現在のノーチラス会の特徴は、この当事者と非当事者の連携ではないかと思っています。同じ疾患を巡って当事者会と家族会が対立するような話も耳にしますが、ノーチラス会では双極性障がいに関わる皆様方に支えられています。定例会(集い)では当事者がご家族と一緒に参加されたり、臨床心理系の学生さんたちが参加したりします。講演会では双極性障がいを研究テーマとする科学者をお招きすることもあります。そこで生み出される一体感が日本全国、世界中に広がっていけば、いつの日かスティグマもバリアーも無くなるのではないかと想像します。

逆に申しますと、ノーチラス会の一番大切な仕事のひとつは、会員が当事者・非当事者の枠を超えて一人一人仲よくすることではないかと思います。私たちが仲よくできなければ、社会に対してバリアを無くそう、スティグマを無くそうと叫んでも空しいばかりです。私たちは薬を飲み、精神療法も受け、生活指導も受けてはいるが、人間的に素晴らしいのだ、何より人として一番大切な心は少しも障がいされていないこと、そればかりか障がいを持ったことによって心はずっときれいでいるということを、ノーチラス会の活動を通して社会に理解していってもらおうではありませんか。

一人一人はちっぽけな存在でも、皆で一致団結すれば大きな力になる。ノーチラス会は、一人一人の絆の接着剤になれればいいと思っております。

私自身も、皆様の力で成長させていただいております。

何卒、皆様のお力でノーチラス会をさらに育てていただきたいと願っております。よろしくお願い申し上げます。

平成25年11月吉日

理事長 鈴木映二